優先順位付け

パワーアップ手帳の活用方法に沿った優先順位付けの方法をご紹介します。

1、計画倒れにならないための優先順位付け

日々の行動をマネジメントして着実に成果を上げていくためには、個々の活動の優先順位付けが大変重要です。いくら手帳で計画を立てても、実際に行動すると想定どおりに物事が進まない事は日常茶飯事です。そして忙しい時に限って新しい仕事がどんどん発生するものです。あげくに緊急の重要案件ばかりに振り回されて気がつけば一日が終わってしまったなんて経験を誰もが持っているのではないでしょうか。

■優先度は「緊急度」と「重要度」では判断できない

一般的に良く言われている優先順位づけの考え方は「緊急度」と「重要度」の2つの基準で仕事の優先度を判断しようというものです。

これは、「緊急かつ重要なもの」「緊急ではないが重要なもの」「重要ではないが緊急なもの」「重要でも緊急でもないもの」に分け、取り掛かる順番を決めるという考え方です。しかし、パワーアップ手帳では少し違う考え方をしています。


確かに優先順位の基本的な判断基準は「緊急度」や「重要度」であることには間違いないでしょう。しかし、日々の活動の中で、個々のアクションごとに優先順位の序列をつけていくこうした手法は、実際には煩雑であり実践的とは言えません。

なぜなら、そもそもスケジュール帳に記載するアクションは基本的に「緊急かつ重要なもの」か「緊急で

はないが重要なもの」しかないからです。また、優先順位の判断が必要な時はあくまでもイレギュラーな状

況が発生した時であって、通常時は計画したスケジュールどおりに自らの行動をマネジメントすることが最も大切な事です。


■優先順位は「判断が必要な時」に「優先すべき基準」で決める

このように考えると、優先順位付けの方法とは、どのような時が優先順位付けの「判断が必要な時」で、「優先すべき基準」は何かについて明らかにすることです。

まず、「優先順位付けの判断が必要な時」とは以下のケースがあげられます。


①棚卸スペースへアクションをプロットする時

②人と仕事をする時

③計画時間内に仕事が完了しなかった時

④突発事項が発生した時

以下、それぞれ時での、「優先順位付けの基準」について考えていきます。


①棚卸スペースへアクションをプロットする時の優先順位付け


■棚卸スペースのアクションはクリティカルパス(中核のプロセス)を優先する

最初に優先順位を判断する必要がある時は、複数のテーマのアクションを、今週の仕事の棚卸スペースに列挙する時です。様々なアクションの中からどのアクションを優先させるべきでしょうか。もちろん全てのアクションは今週確実に実行すべきものばかりです。

しかし、仮に仕事の棚卸スペースに列挙されたとしても全てのアクションが今週のどこかにスケジューリングできるとは限りません。また、週のスケジュールに組み込めても、いざその日になって緊急事態が発生してスケジュールの変更得を余儀無くさせられるかも知れません。したがって、棚卸スペースに列挙する段階で、どのアクションの優先度が高いのか判断が必要だということになります。


優先度を高くすべきアクションは、各テーマのプロセスの進捗上、それが遅れることによってテーマ全体の目標達成に大きく影響を与えてしまうアクションです。これをクリティカルパスといいます。それが今週の仕事の棚卸リストにあるかどうか、最初にプロットする時に確認しておきます。そして、このアクションを週の最優先の日の時間帯に割り振るようにします。できれば星印など分かるような記号を書き添えておくほうがいいでしょう。


テーマ全体の目標達成に大きく影響を与えてしまうアクションというのは次のような場合が考えられます。

例えば、今月の取り組みテーマの一つとして、顧客A社との契約獲得があるとします。あなたは成果につながるプロセスとして、

調査→検討→事前訪問→企画書作成→訪問しニーズ確認→修正検討→社内での事前プレゼン→先方へプレゼンテーション→契約クロージング→アフター訪問

といったプロセスを立案しました。

個々のプロセスはもちろん重要ですが、上司、相手などキーマンのスケジュールの期日、競合企業の動きなど時間的・人的制約が優先順位に影響してきます。これらの因果関係をみると、「どうしても先送りできない」というプロセスが浮かび上がってきます。

例えば先方の意思決定者が長期出張に出かけるとすれば、自ずとプレゼンテーションをする納期が決まってしまいます。また、投入コストの大きさによっては事前に社内稟議にかけなければならない場合もあります。一方、契約のクロージングは来週に延期しても全体の結果には影響が出ないとわかっている場合もあり

ます。


このように、その時の環境や制約条件によって、今どうしても成し遂げるべきプロセスというものが存在することがあります。仕事の棚卸スペースにプロットする段階でこのプロセスをしっかり認識しておきます。

こうしたプロセスのアクションは、前後のスケジュールを考え、確実に実行できる時間を優先的に割り当てる必要があるからです。こうすることによって複数のテーマの進捗を効果的にマネジメントすることができるようになります。


■チャレンジテーマを先送りしてはならない

棚卸スペースで優先順位を判断するのはあくまでも中核のプロセスのアクションであって、取り組んでいるテーマそのものに優先順位をつけるのではないということに注意して下さい。取り組みテーマが5つあれば、重要度に応じてテーマを序列することはできます。必ず達成しなければならないテーマもあれば、今期においてはそれほど重要ではないテーマもあります。

しかし、仕事の棚卸スペースに列挙されたアクションの優先順位を、テーマ自体の重要度で判断してはなりません。そうすると優先順位の低いテーマのプロセスはいつまでたっても実行されなくなってしまうからです。それでは複数の取り組み課題を同時平行にマネジメントしていることにはなりません。

とは言え、仕事が立て込んでくるとどうしても重要な取り組みテーマのアクションを優先してしまいがちになります。これを防ぐために、取り組みテーマの中でもいわゆるチャレンジテーマ的な特に意識して実効すべきものは、いわゆるチャレンジテーマと言えます。

例えば、自分の勉強のために専門書を読むとか、資格取得をするといった自己啓発テーマです。また、上司から命じられたのではないが、自分自身が抱いた問題意識であって、業務改善につなげたいといったテーマです。これは自分で自分に課した宿題ですから仮に成し遂げずとも今の仕事上には問題は生じないでしょう。自分で納期を延ばすこともできるし、やらなくとも評価がさがらない。しかし、その仕事で成果をあげることは、自分の仕事の幅を広げるものであり、不可価値を生み出すものです。これは、自分自身が志をもって自分と約束した仕事です。

こうした自分への投資のアクションは非常に重要なテーマです。これは、緊急度や重要度ではなく仕事に対する姿勢の問題です。重要度で測ろうとすると、ここが抜けてしまうのです。継続的、総合的に成果をあげていくためには複数のテーマを平行してやりきるマネジメントが必須です。



②人と仕事をする時の優先順位付け


■パートナーの優先順位を確認する

成果につながるプロセスマネジメントでは、人と仕事をする時も優先順位の判断が必要です。「優先すべき基準」は自分の考えている優先順位ではなく、仕事のパートナーが考えている優先順位はどうなっているかということです。週次のプロセスの中には、パートナーと共同してすすめていく仕事があります。誰かのレスポンスを待って次のステップに進んでいくような仕事です。しかし、自分のシナリオの中では重要なプロセスと思っていても、パートナーの中で優先順位が高くなければ全体の進捗が遅れてしまうことがあります。


例えば、連携部署の担当者と打ち合わせをした結果、持ち帰り検討して上司の判断を仰いでくるという案件があったとします。次週にその結果を受けて次のステップに進もうという計画です。ところが、いざ約束の日になってレスポンスを待っていると「色々あって、まだ上司に相談できてないんです。」と平気で納期を延ばされてしまうのです。

また、パートナーと分担して企画案を検討するという結果待ちの仕事もあります。しかし、やはりいざ納期間近となった時に、「一応、取り組んではいるんですがなかなか思うようにならず、まだ検討中です。もう少し待ってください」とあっさりと先延ばしになることがあります。


確かに、上司は会議続きで、なかなか相談の時間が取れなかったのかもしれませんし、実際に企画書づくりに取り組んだものの、緊急の仕事が入って中途半端なままになっているのかもしれません。しかし、一方で、これらの仕事がこちらの期待したレスポンスと食い違っていたということは、パートナーにとって優先順の低いテーマになっていたからに他なりません。

したがって、パートナーに対して仕事の優先順位を高くして欲しい場合は、例えば週の初めに確認のためにワンプッシュするだけで結果がちがってきます。もちろんそのワンアクションをTODOリストに書いてお

きます。

「例の件、今週木曜日までにお願いしますね。」といった具合にワンプッシュしておきます。ここで相手が「了解です!水曜にはできますから。」であれば問題ないでしょう。しかし、時として「いや、それに関してはですね・・・」と否定的なレスポンスが帰ってくるかもしれません。その場合は要注意です。こちらが描いたプロセスのシナリオがパートナーに共有されていなかったのです。こうした場合、改めてネゴシエイトするか、または別のシナリオに修正するかの判断が必要になります。

したがって、万が一のパートナーのレスポンスを考えて、ある程度時間的な余裕をもって優先順位の確認をいれるようにしましょう。


③計画時間内に仕事が完了しなかった時の優先順位付け


実際に仕事に取り掛かったものの、どうしても時間内で終わらない場合があります。例えば企画書の作成、集計や分析、時間内に整理し切れなかった検討課題など、思うように仕上がらず、このまま中断できないような状態で予定の時間がすぎてしまうことがあります。そのままその仕事を抱えていると、本来別の仕事に取り掛かるはずの予定が狂ってしまいます。

したがって、こうした時は今仕掛かっている仕事と次に待ち受けている仕事のどちらを優先させるか判断しなければなりません。

もし、次の仕事を他の時間帯へ移動しても問題なさそうだとすぐに判断できる場合や、この後特に予定がなくもともとバッファーとして取ってあったりと、スケジュール変更に余裕がある場合は継続して今の仕事を続けます。しかし、あとの予定が詰まっていたり、予定を動かすのに判断に迷う場合は思い切って中断するようにします。


また、いわゆる「行き詰まった」状態の場合は躊躇なしに中断します。煮詰まった仕事は他の仕事の進捗を遅らせる元凶です。その場でそれ以上時間をかけても望ましい結果は得られないと割り切るべきです。

ただし、中断するに当たって必ず行っておくことがあります。「やり残した仕事を仕上げるにはどれくらいの時間が必要で」、「そのためにどんなアクションが必要なのか」、それを決めることです。それらのアクションを新たに仕事の棚卸しスペースにメモし、新たに仕事が発生したという扱いにして再度スケジュールの割り振りを実施します。


例えば、営業で顧客を訪問して商売の可能性をつかんできたとします。想定したニーズに基づいて次回訪問時の提案書の骨子を今日中に作成しようという計画です。しかし当初の予定の1時間必死で考えたが、いま一つ「これだ」というものが見えて来ません。このように重要な仕事ほど「行き詰まる」ものです。こんなときは即、中断し、「なぜ問題が解決しないのか」を考えます。その場で完成形が明確にイメージできないのは、何が実現を阻害しているのか。例えば「人」、「もの」、「かね」、「情報」に切り口で考えます。何かが足りないのです。

「把握したと思っていた先方のニーズがまだ情報として不足している(情報)」→「改めてニーズの仮説づ

くりをし再度訪問」。

「どうしても販売促進費がオーバーする(かね)」→「見積もり先の変更、予算増枠申請」。

「知識やノウハウが不足している(情報)」→「過去の企画書から類似のものがないか調べてみる」。

「社内の協力が得られるかどうかわからない(人)」→「上司に相談」。


このように、足りないものと対策のアクションを考えます。この時点ではそれだけの答えを出して、見切りをつけてしまうのです。新しく計画したアクションを仕事の棚卸スペースに追加して記入します。そして、改めてスケジューリングの修正をして、将来の時間のどこに当てはめればいいかを考えるのです。そうすれば、机にしがみついているよりずっと早く結果を出すことができます。


また、仕事を中断する際に特に注意すべきことですが、やり残した仕事と次に待っている仕事の優先順位を緊急度や重要度では判断してはならないということです。「それはおかしい」と思われるかも知れませんが、実際には「今まで取り組んでいた」ということで「緊急かつ重要な仕事」なんだと、判断してしまいがちになるからです。そうなると、当初立てたスケジュールと関係なしに、取りかかった順番に仕事が続いてしまいます。そうすると、先延ばしにしていた仕事の納期が次第に逼迫し、やがて緊急度の高い仕事ばかりに取り囲まれてますます忙しくなるということになってしまいます。


したがって、できるだけ当初のスケジュールを変えないように心掛けることが、結果としてコントロールできる時間をふやすことにつながるのです。

ちなみに会議や、数人での打ち合わせなど「人とする仕事」の場合は状況がちがいます。一般的に言われるように「会議のルール」によってマネジメントされるべきだからです。つまり、会議の議題、獲得目標、終了時刻を予め明確にし、発生した持ち越し課題は会議の最後に確認し、今後どのように対処していくかを決めてから終わるようにします。こう考えると、自分でする仕事の優先順位づけも「会議のルール」と同じ要領で行えばよいということがわかります。


④突発事項が発生した時の優先順位付け


■突発事項には「実施時間判断」と「当事者判断」で対処する

日頃の業務の中で優先順位の判断を最も求められる時は、突発事項が発生した時でしょう。しかもいくつかのアクションを俯瞰してゆっくりと重要度を決めるのではなく、今対処すべきか否かを個別にその場で判断していかねばなりません。したがって、こうした突発次項の優先順位は、「今するか」、「後でするか」の実施時間判断と、「自分でするか」、「人に任せるか」の当事者判断の組み合わせで行います。


例えば突発事項の中でも嫌おうなしに対処を迫られるものとして、急な来客、折り返しの電話要請、顧客や社内のクレームなどが上げられます。これらの多くは迅速に対応しないと後々になって事態を悪化させたり、コミュニケーションに齟齬をきたす恐れがあります。したがって「実施時間判断」は「今する」です。

ただし「今する」にしても何でも「自分でしよう」とすると、たちまち他の仕事がまわらなくなってしまします。中でも「人に任せられる」ものがないか冷静に考える必要があります。もちろん何でも「人に振ろう」とするとそのうち「仕事がまわってこなくなる」か、そもそも「あてにされなく」なりますので注意が必要です。


また、上司からの急な指示、部下からの相談、顧客からの依頼、関係部署からの依頼など、具体的なアクションを求められる場合もあります。これらは、必ずしも「今聞いて今すべきもの」ばかりではありません。いわば、「新しく認識した課題」です。まず最初にすべきことは納期の確認です。そして解決のプロセスを考えて、仕事の棚卸スペースに追加記入します。

その上で、いつ取り掛かるのかスケジューリングを行います。このときも、緊急を要するアクションは「自分でするか」、「人に任せるか」の当事者判断を行って対処します。


2、メールや書類の優先順位付け

突発事項は、目の前や受話器の向こうで相手があなたのレスポンスを待っている訳ですから、仕事が発生するたびに優先度の判断をしなければなりません。

一方、メールや書類の形でくる仕事はパソコンのメールボックスや机の書類トレーにどんどん溜まりますが、「開いて中を見なければ」緊急度、重要度はわかりません。次から次へと送られてくるEメールの中には返信を求めるものや、勝手にレスポンスの期日を決めて検討をせまってくるものもあります。また、報告書や決裁書など様々な書類の中には、すぐ判断が必要なものや、できるだけ早く目を通しておかなければならない資料が混在していて、それらを放っておくと膨大な量の緊急案件と化してしまいます。


したがって、こうしたメールや書類をチェックする時は、まず最初に「実施時間判断」が重要に。その場でレスポンスすべきものがあればメールや書類を開いた時にレスポンスします。また、会議開催やイベントの連絡であれば、すぐスケジュール帳にスケジュールをプロットします。そして、新しい検討事項であれば、納期を確認した上で仕事の棚卸しリストに記入します。もちろん、この時も「自分でするか」、「人に任せるか」の当事者判断を行って対処します。


その場でレスポンスすべきものは、Eメールに「要返信」と明記してあるものだけではありません。たとえ「要返信」リクエストされていなくとも、こちらからレスポンスの必要があるかどうかを常に判断します。

例えば、会議の後で議事録が配信された時、その後のアクションについて確認したり念を押すためのレスポンスが重要な場合があります。相談を受けたり、考え方を聞かれた時はもちろんですが、自分が意見をレスポンスすることで関係者の次のアクションにつながると思われる場合、レスポンスの優先度を高くすべきです。


また、「相手にとって必要なタイミングでレスポンスする」という判断基準も大切です。「調整を図りたい」、「意見を聞きたい」、「承認がほしい」、レスポンスを求めてくるということは、その相手にとっては必要なタイミングということです。それに応えるようにすると、今度はこちらがレスポンスを求めたいときに対応してくれるようになります。


これまで述べてきたように、メールや書類を処理する時のポイントは、最初にメールや書類を開いた時に処理方法を決めることです。とりあえず内容をチェックして取り掛かる順番を決めたり優先順位を後で決めると、すべての情報に2回目を通すことになるので非常に非効率です。したがって、すぐレスポンスすべきものは見た順番にどんどん処理します。検討が必要なものは検討事項をスケジュール帳の棚卸しリストに記入します。そして納期や先の予定に関するものはスケジュール帳のスケジュール欄やTODOリストにその場で記入します。


とにかく、メールBOXや書類トレーの中だけに検討事項を残しておくと、なかなか取り掛かることができなくなります。自分に必要なアクションにその場で落とし込みことで、他のアクションとの優先順位づけも可能になってくるのです。


3、優先順位の判断の必要を無くするための3つの予防策

パワーアップ手帳の活用法に沿った優先順位付け方法の最後は、「優先順位の判断の必要を無くするための3つの予防策」です。


誰しも経験があることだと思いますが、優先順位をつけなければいけないような事態になるのはどういう時かというと、それが重要な案件かどうかにかかわらず、納期が逼迫してしまった仕事をやむなく優先させているという場合が多いのではないでしょうか。納期に余裕のある仕事を先延ばしにしながら、次から次へとやってくる仕事に追われていると、たちまちこういう事態を招いてしまいます。しかしここでよく考えていただきたいのです。これは本来の意味の優先順位付とは違います。こうした事態は事前に予防することができるからです。こうした事態を招かないためには事前に予防策をとっておくことが必要です。それは、


①ワンステップの仕事はその場で処理する

②無駄な緊急案件を作らない

③パートナーと双方の課題を日頃から共有化しておく

の3つです。


①ワンステップの仕事はその場で処理する

例えば「精算業務」「日報の記入」「伝票の手配」や「メールや電話のレスポンス」などの仕事のうち、数分で処理できる仕事があります。これら、いわゆるワンステップの事務処理は、発生した時に処理してしまうというのが第一の予防策です。

確かに、同じような仕事はまとめておいて、すきま時間を利用して片付けるという方法も効率的かもしれません。ただ、この方法は、適度にそのすきま時間が訪れることが前提です。そうした隙間時間を待っているよりも、実際にはこうした業務はできるだけその場で手をつけてしまう方が効率的であるというのが私の実感です。「まとめてためておいて」、「記録して」、「類似した業務を集めて」、「納期を再度確認して」などと、ワンステップで済む仕事たちに何ステップも段取りを考える必要はありません。そうしているうちにも納期が切迫した緊急業務と化すものが現れて、無用な優先順位付けをしなければならなくなります。ブレイクダウンする必要のない仕事によけいな段取りを与える必要はありません。原則として、手にしたときに終わらせるべきです。

②無駄な緊急案件を作らない

前述のようにワンステップの仕事でなくとも、納期が逼迫することによって優先順位が高くなり、他の業務を圧迫してしまうような事もうっかりすると頻繁に発生します。こうした無駄な緊急案件を作らない事が第2の予防策です。

例えば、会議やセミナーの報告書の作成や企画書の立案など、予め所要時間と納期を決めてスケジューリングしている業務がこれにあたります。まずは時間内に正しく実行することです。仮に実行しきれなくとも納期までに余裕のある日程、時間帯でスケジューリングをしておくことこそが、無駄な緊急案件を作らない、優先順位付を変えさせないための予防策になります。


また、次の事例のとおり、計画どおりに実行しなかったために新しい業務が発生して他の業務が全てストップしてしまう場合もあります。


例えば営業の仕事で、商品の売り込みからアフターフォローまでのプロセスの場合です。通常では、「受注→物流→納品→アフターフォロー」つまり、営業先を訪問して商品の提案、クロージングによって注文を取り、社の物流に商品の配送を指示し納品、そして納品後の訪問でアフターフォローを行うという流れになります。

しかし、受注のためのクロージングをしっかり行わなかったために、注文数の確定に余計な日数を費やし、結果として得意先の希望する納品日には社の配送車が手配できないという事態に陥りました。仕方なしに営業担当者が自ら配送車の手配をし、運転し、納品のために1日を費やすことになりました。


もうひとつ、企画案件担当者の事例です。調査・情報収集→現状分析→中間報告→企画の骨子作成→企画作成→検討会議開催というプロセスで1週間後の会議までに企画書を作成するはずでした。しかし、中間報告を怠ってしまい、検討会議の前日の朝になって上司から説明を求められました。しかしそこで方向性が間違っていることを指摘され、徹夜でやり直しをしなければならなくなりました。


これら2つの事例とも当初計画していなかった別の緊急の仕事を発生させています。しかも、仕事の達成品質を高めるプロセスとは関係のないそのプロセスが最優先になってしまっているのです。スケジューリングどおりに行動しなかったことによって新しく優先度の高い仕事が発生し、大至急!と責め立ててくる。そうなると、もう他の業務の緊急度とか重要度とか関係なくなってしまいます。


繰り返しになりますが、それは優先順位付けの問題ではなく、単にスケジューリングに失敗しただけなのです。計画をして取り掛かるという基本をしっかり実行することこそが「無駄な緊急案件を作らない」ための予防策なのです。

③パートナーと双方の課題を日頃から共有化しておく

3つ目の予防策は、「パートナーと双方の課題を日頃から共有化しておく」ことです。言われればもっともな話でしょうが、実際にスケジュールを組む前に、自分のスケジュールに影響を与えそうな人とは、あらかじめ仕事上の課題を共有化しておくべきです。自分の上司・同僚・部下・得意先は、仕事のパートナーです。これらの人たちは今どのような課題を抱えているのでしょうか。そしてあなたが今どのような課題に取り組んでいるかパートナーはどれだけ理解しているでしょうか。仕事は互いに連携し合い、それぞれが役割

を果たすことで成果に向かっていきます。

したがって課題の進捗によっては、近いうちにパートナーであるあなたへ新しい仕事となって影響が現れてきます。


例えば、週の半ばになって、上司から急に進行中のプロジェクトの概要について説明できる資料を週末までに作って欲しいという指示が出たとします。上司の指示ですから優先順位の高い仕事としてスケジュールの組み直しをしなければならなくなります。「急に言われても、すでに他にやることがあるのに、参ったなあ・・・」などとぼやいても仕方ありません。

しかし、進行中のプロジェクトが社内の他部署の協力を仰ぐ段階になっていることが分かっていれば、そうはならないでしょう。先週のうちに、そうした資料が必要なことがわかり、一週間のスケジュールを首尾よく組み立てることが可能であったはずです。


また、担当している得意先が、社内のコスト改善に取り組んでおり、あなたが得意先の課題を把握していればライバル会社に先んじてコスト改善の提案をする事が出来ます。しかし、課題把握が浅ければライバルに先を越されて相見積りを求められて緊急の仕事になるかもしれません。

もちろん、パートナーの抱える全ての課題を常に把握しておくことはできません。しかも、もしあなたの仕事が他人の仕事のペースと関係なく進めることができる専門的な分野であるなら、この予防策はあまり必要ないのかもしれません。

しかし、上司に限らず、同僚・部下・得意先であっても同様です。彼らはなんらかの課題を認識したからこそ急にあなたに仕事を求めてくるのです。もし、事前に課題を共有できていれば、あらかじめ課題解決のためのアクションを自分のスケジュールに組み込んでおくことができるわけです。


つまり「パートナーの抱えている課題を事前に確認する」ことこそが、「優先順位の判断の必要を無くするための予防策」になるということです。


以上、パワーアップ手帳の活用で効果的な優先順位付けが可能になります。是非、お試し下さい。